夏に涼風を起こすため、また儀礼用や舞のときなどに持つ道具です。団扇(うちわ)を折りたためるように工夫したもので、扇子・広末ともいいます。薄い木の板をつづって要(かなめ)で留めた「檜扇」と、木や竹の細い棒を束ねて片面に紙を貼った「蝙蝠(かわほり)扇」があります。
檜扇は飛鳥時代以降、男性が正装の際に所持した笏(しゃく)を変化させたものであるといわれます。男性用のものは白木のままですが、平安時代には女性用の檜扇は衵(あこめ)扇とも呼ばれ美しく装飾を施し、多くの女性に持たれるようになりました。
蝙蝠扇は、平安時代中期に檜扇から発達したもので、開いた形が蝙蝠(こうもり)に似ていることからという説があります。男性の略装に持たれていましたが、次第に用途が増えて、軍扇・神事用・舞台用・実用とそれぞれに発達しました。
|